《日本星空秘境探訪 2 : 夏と海》

ここは日本のどこかにある秘境。海の波音が絶え間なく響きます。普段であれば街明かりも遠く、夜が訪れると漆黒の闇に覆われる場所。でも今日は、月が明るく輝いています。明るい月のおかげで、夜の闇の中でも地上の風景がはっきりと浮かび上がってきました。そして群青色の空には満天の星が広がります。
この奇妙な岩に囲まれたこの場所は、果たしてほんとうにこの世の風景なのでしょうか?その風景はまるで極楽浄土のようでもあります。
海の姿を一言で表現することはなかなか難しい事。常に激しい波を打つ付ける荒々しい海岸から湖のように穏やかな浜辺まで、場所や時間によって様子が刻々と変化してゆきます。そして、この透き通る水と波も立たない穏やかな海は、南の島の静かな浜辺。ゆったりとした時間が流れてゆきます。
巨大な岩の端が徐々に明るくなり、月が出てきました・・・季節は夏です。月明かりの下、幻想的な風景を巡る旅の始まりです。さぁ、旅に出掛けましょう!

VR映像仕様

映像解像度 映像タイプ 音声 時間 ライセンス
4K 8K 12K 16K 2D 3D 2ch 10:00 
     


霊界への入口



遠浅の海に沈む夕陽

太陽が水平線に近づくに連れて、潮がだんだんと満ちてくる。浅瀬の浜に棲む生き物たちが、潮の満ちを感じ取りプチプチと音を立てだした。 この遠浅の海は、日本の夕陽百選にも選ばれる夕陽の絶景が見られる場所。浅く平らな海底の砂の平原が、波に合わせてウネウネとした模様を残していたが、沖の方から満ちてくる潮の下に隠れだした。 沖から浜に向けて、凹んでいる所から順々に海の下に消えてゆく。潮が見た目に満ちてきたと感じる出すと、浜辺は一気に海に替わってしまう。今夜も星空がよく見えそうだ。

そこは霊界への入口

この奇妙な風景は長いこと外界から閉ざされ、容易に近づくことすら出来なかった土地である。 一帯に広がる白緑色の凝灰岩は、1500万年前の海底火山の噴火の際に噴出されたのもので、東北から北海道にかけて広く分布するグリーンタフの一部である。 しかしかがら、この場所のグリーンタフは雨・風・波による浸食作用に曝され、他の場所では見ることが出来ない奇妙で特異な景観を作るに至った。 見える全ての岩の形は奇妙で、本当に自然による造形なのか疑問に感じるほどである。 文人で紀行家の大町桂月はこの風景に絶句し、まるで神か鬼の仕業であるかのようだと「神のわざ 鬼の手つくり仏宇陀 人の世ならぬ処なりけり」と和歌に詠み残している。 特徴的な岩にはそれぞれ名前も付けられている。「如来の首」「五百羅漢」「極楽浜」など、極楽浄土に見立てた名前である。 その中でも「蓬莱山」は三角の切り立った先端が連なる岩の壁である。その中央部の三角の中心部になにやら目のようなモノがあることに気づく。 あれは全知全能の神の目とされる「プロビデンスの目」の刻印か・・・あるいは、伝説の巨人キュクロプスが一夜にして造り上げた造形物の証しなのだろうか。 いずれにせよ、とても人間業とも自然の業とも思えぬ光景に、古代の伝説に繋げたくなってしまう奇妙な場所である。

柱状節理

六角形のタイルを敷き詰めたようなこの風景は柱状節理を呼ばれる地質現象の成せる技である。主に玄武岩質の溶岩が冷えて固まるときに、六角形状のヒビが入り、それが垂直に発達していく。 それが長い年月を経て浸食されることで、六角形の柱が連なる風景や、六角形のタイルを敷き詰めたような風景を作り出すのである。 特に、この場所はさらに奇妙である。打ち寄せる波が岸壁を浸食し、いくつもの洞窟群を作った。洞窟の様子は、船に乗って海から眺めないと見ることは出来ない。 自然が長い時間を掛けて作った風景は、この先も長い時間を掛けて変化し続ける。1000万年後にどうなっているのかは、分からない。

ネコと談合をする島

この島は、ヒトよりネコの方が多いとも言われる小さな島である。漁村でもあるこの島の港の周りには、ネコたちがのんびりと日向ぼっこをしながら過ごしている。 島の外周には細い道が一周していて、のんびり散歩するには最適である。ネコがいるのは港周辺の集落付近だけで、島の反対側にはいない。
この島は「談合島」とも呼ばれていた。この地域一帯は、江戸期に信仰の迫害と厳しい収奪を受け続けてきた。 それらに反発すべく、一帯のリーダーがこの島に集まり、密かに戦いを決起し作戦を練ったと言われている。 島の裏手からは、対岸に戦いの最後の砦となった城跡が見えている。 内海にある島の海は穏やかで、細波が優しく打ち寄せている。そして今は、ネコたちが談合し合う平和で静かな島である。



古代の神が降臨した島



古代の神が降臨した島

この島は珊瑚礁に囲まれた南の海に浮かぶ小さな島である。本島からそれほど遠くない島にも関わらずリゾート開発を受けること無く、古くから続く島の暮らしと信仰・文化が守られてきているのは奇跡かもしれない。 港の近くに集落があり人が住んでいる。そこから少し外れると、アスファルトで舗装されていない昔ながらの道へと変わってゆく。それは南の島らしい草木に覆われた道である。 長細い島だから、島の先端まで一直線の道が延びている。道に沿って浜も続いている。 信仰の聖地とされ結界が張られ人の侵入を拒む場所がいくつもある。古代より受け継がれてきている信仰ではあるが、やはり時代の流れには抗えず、約40年前を最後に伝統の儀式は途絶えている。 しかしながら、信仰の精神が途絶えている訳では無く、再開できる日まで待っていて欲しいという願いを込めているという。
人工衛星の写真をみると良くわかるが、島が珊瑚に囲まれている。なので、島の浜辺の多くは外洋の激しい波が打ち寄せることなく、穏やかな海である。細波に月明かりが反射してキラキラと綺麗である。
真っ直ぐに伸びた道の先には岬がある。すこし上り坂のようになっているためなのか、道の終わりに差し掛かるまで、その先に海を見ることは出来ない。海に向かって進んでいるというより、空に向かって進んでいるような感じである。 岬の先には海だけが広がっている。ここの海は少し荒々しい波が打ち寄せてきている。波によって浸食された岩場も険しくなっている。振り返ると来た道が真っ直ぐに伸びている。 それは「古代の神がここに天から舞い降り、国造りを始めた」という伝説に相応しい風景である。

橋で渡れる島

離島とは言っても、かなりの数の島が本島より橋で繋がり、自由に往来できるようになってきている。ここもそんな島のひとつである。 島の端っこに小さな浜がある。なにやら奇妙な岩が二つ立っている小さな浜である。とある場所に立つと二つの岩と岩が重なり、その隙間にハート型の空洞が現れるということらしい。 以前にCMでこの浜が出てきて以来、一大観光名所になってしまったとの事。近隣には大きな駐車場もある。観光客でごった返す時間さえ過ぎてしまえば、また波音だけの静かな空間が戻ってくる。

橋で渡れない島

この島は橋では渡れない。飛行機にしろフェリーにしろ、主要空港(港)から直接行くことすら出来ない離島の離島。 丸くて平らな島の周りには、珊瑚礁が取り巻いている。そのため、浜辺の波は穏やかで、さらに透明度も極めて高い。 それほど小さな島という訳では無いので、島内を乗り合いバスがグルグル回っている。 しかし、よほど観光目当ての訪問者が少ないのか、宿も店も限りなく少ない。のんびりとした島の時間だけが流れてゆく。
島の道を歩いていると、綺麗な浜辺を見つけた。浜辺に降りてみると、砂に混じって珊瑚の欠片が散らばっている。 打ち寄せる波に欠片が転がってカラカラと音を立てている。ちょうど北の方角が海である。水平線から見上げるまでもなく、北極星が目に入る。 低い所にある北極星を見ると、だいぶ南に来たんだなと実感するのである。